ヒップの筋肉を知ろう
ヒップの主な筋肉は、大臀筋(だいでんきん)・中臀筋(ちゅうでんきん)・小臀筋(しょうでんきん)の3つです。
それぞれの筋肉について知っておくと、筋トレをするときに「どこの筋肉を使っているか」を意識することができるようになるので、筋トレの効果も上がっていきますよ。
では、さっそく3つのヒップの筋肉について解説していきますね。
大臀筋
大臀筋は、臀部(お尻)の表層にある人体の中で最も大きな筋肉です。お尻の筋肉の中で大きな割合を占めているので、この筋肉を鍛えることでヒップの見栄えを大きく変えることができます。
大臀筋は日常の生活で一番使われる筋肉です。足を後方に伸ばしたり、ひざを外側にひねったりするときに働きます。また、歩いたり、走ったりするときや、立った姿勢を保持するためにも使われています。
中臀筋
中臀筋は、大臀筋の上にある筋肉です。主に、足を横へ踏み出す動作のときに使われていますが、ひざを外側に向けたり内側に向けたりするのをサポートする働きも中臀筋にはあります。
股関節を外側や内側に動かす際に重要な役割を持つ筋肉なので、中臀筋を鍛えておくと横への動きが素早くなったり、足をスムーズに動かせるようになったりします。
骨盤の側面に位置している中臀筋は、重心が片方の足に乗ったときに骨盤のバランスを保って安定させるという役割もあります。
小臀筋
小臀筋は、中臀筋のサポートをしている筋肉です。お尻の筋肉の中で最も小さな筋肉ではありますが、股関節を外側や内側に動かすという大切な役割を持っています。
小臀筋は中臀筋と同じような働きがあり、中臀筋の奥深くにある筋肉なので、中臀筋を鍛えると自然と小臀筋も鍛えることが可能です。
逆をいえば、小臀筋だけ鍛えるということはできませんので、ヒップアップの筋トレの際には、大臀筋と中臀筋を意識しておけば良いということでもあります。
お尻の大臀筋と中臀筋を鍛えると、バランスの整った綺麗なお尻にすることができますよ。
ヒップアップの筋トレをすることで得られる嬉しいこと
キュッと引き締まった上向きヒップにする。これがお尻の筋トレをすることの目的になっている方が多いと思いますが、実は筋トレで得られるのは見た目の良さだけではありません。
具体的には、どんなメリットがあるのかみていきましょう。
足が疲れにくくなる
お尻の筋肉を鍛えると、足が疲れにくくなります。
長時間歩いたり、立ちっぱなしだったりすると、ふくらはぎの筋肉や太ももの前側が張りやすい人は、お尻の筋肉がうまく機能していない可能性があります。お尻の筋肉がうまく使われていないために、足の筋肉へ大きな負担がかかっているのです。
お尻の筋肉は、歩いたり、階段を登ったり、股関節を動かしたりするときに使われますから、ここを鍛えておくことで足の筋肉の負担は減ります。
結果として、たくさん歩いても疲れにくくなるのです。足が疲れやすい人は、足の筋力が弱いと思われがちですが、実は問題はお尻の筋肉にあるのかもしれません。
代謝が上がる
お尻の大臀筋は、ひとつの筋肉としては体の中で最も大きな筋肉になるので、鍛えることで基礎代謝を上げることができます。
基礎代謝は、体温を維持したり呼吸したりと生きていくために最低限必要なエネルギーで、1日にする消費するエネルギーのうち70%ほどを占めています。
基礎代謝の中で最も多くのエネルギーを消費しているのが筋肉なので、筋肉量を増加させることで、大きなエネルギー消費に繋げることができるのです。
また、大臀筋は上半身と下半身をつないでいる筋肉でもあるため、全身のエネルギー消費に活躍してくれています。
代謝を効率的に上げるためには、太ももにある大腿四頭筋やハムストリングス、胸にある大胸筋や背中にある広背筋といった大きな筋肉も同時に鍛えるようにしましょう。
ちなみに、大臀筋と太ももの筋肉である大腿四頭筋・ハムストリングスだけで、全身の筋肉の50%が占められています。
なので、筋肉をつけて基礎代謝をアップさせることを考えているのであれば、大きな筋肉から鍛えていくのが効率的です。
足が長く見える
ヒップアップの筋トレを行うと、おしりがキュッと引き締まって上向きになり、おしりの位置が高くなります。そうすると、おしりの下から膝までの距離が長くなるため、足がより長く見える効果が期待できます。
普段、座り姿勢が多いと、お尻の筋肉を使う機会が減ってヒップの位置が下がりやすくなります。とくに、デスクワークを長時間行う方はヒップアップの筋トレがおすすめです。
また、ヒップアップの筋トレを行うことで、骨盤や背骨のゆがみが改善されて姿勢が良くなることもあります。姿勢が良くなると立ち姿勢が美しくなるため、スタイルアップも見込めるでしょう。
冷え性の改善につながる
ヒップアップの筋トレを行うと、冷え性改善が見込めます。なぜなら、ヒップアップの筋トレをすることで、股関節まわりやお尻の筋肉が動かしやすくなり、血流やリンパの流れが良くなるからです。
股関節まわりには、大きな血管やリンパ節があります。運動不足によって股関節やお尻の筋肉が硬くなっていると、血流が悪くなって足先に血液が届きにくくなり、冷え性につながります。
お尻の筋肉は日常生活で使う機会が少ないので、冷え性を感じている方は、ヒップアップの筋トレを積極的に行いましょう。
ヒップアップにおすすめの筋トレ
筋トレ初心者でも簡単にできる、ヒップアップのためにおすすめな筋トレを3つご紹介していきます。
ひとつの筋トレに絞ってやるのもいいですし、3つの筋トレをローテーションでやっていくのもアリです。筋トレを毎日の習慣にして、ヒップアップを目指しましょう!
ワイドスクワット
大臀筋と大腿四頭筋を同時に鍛えることができる、とっても効率的な筋トレです。ヒップを集中的に鍛えることができるので、ヒップアップが期待できます。
1.肩幅よりも足を広げて立ちます。
2.背筋はまっすぐに伸ばし、足先を45度外側に開きます。
3.そのままの姿勢で、太ももと床が平行になるまで曲げます。
4.ゆっくりと元の姿勢に戻していきましょう。
1~4を、20回×3セットを目安に繰り返してください。慣れてきたら、4セット、5セットと増やしてみましょう。
【ポイント】
正しいフォームを崩さないように注意しながら、大臀筋と大腿四頭筋を意識してスクワットをするようにしてください。
ヒップエクステンション
大臀筋とハムストリングスを鍛えることができる筋トレです。お尻から太ももにかけて、引き締まったラインを作ることができます。
1.両手と両膝を肩幅くらいに開いて、四つん這いになります。
2.背筋がしっかりと伸びている態勢にします。
3.片方の足を後ろへと伸ばし、腰の高さまで持ち上げましょう。
4.ゆっくりと元に戻します。
1~4のステップを、片方を連続で20回繰り返し、片足が終わったら反対も20回繰り返します。左右20回ずつ3セットを目標に、まずは行っていきましょう。
【ポイント】
大臀筋とハムストリングスが刺激されていることを意識しながら、ヒップエクステンションを行うようにします。
フロントランジ
大臀筋・大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋といったお尻から太ももにかけての筋肉を全体的に鍛えることができる筋トレです。
フロントランジを行う際には、大きく足を1歩前に踏み出しても、十分なスペースがとれるくらいの広さを確保しておきましょう。
1.真っ直ぐに立ち、両足は軽く開きます。両手は腰にあてておきましょう。
2.息を吸いこみながら、片足を前方へと踏み出します。
3.腰をしっかりと落としていきます。
4.後ろ側の足の膝は、床に付くか付かないくらいのところまで下げます。カカトは自然に浮かせましょう。
5.息を吐きながら、元の姿勢に戻ります。
左右交互に15回ずつ×3セットを目標に行ってください。
【ポイント】
前方へと踏み出した片足と連動しているお尻と太ももの筋肉に集中しながら、フロントランジを行っていきましょう。
ヒップアップ筋トレの効果を高めるには
ヒップアップの筋トレ効果をより早く実感したいなら、「長く続けること」「筋肉を意識すること」にポイントを置いてトレーニングすることが大切です。
長く続ける
「何ごとも継続が大切」といいますが、ヒップアップ筋トレも短期集中で行うより長く続けることが成功のカギとなります。まずは1ヶ月を目標にしてコツコツと続けていきましょう。
ヒップアップ筋トレの目標ペースは毎日でなく、週3回程度で問題ありません。間に休息日を設けながら、1~2日おきにヒップアップ筋トレをしてみてくださいね。
「ワイドスクワット30回を3セット、毎日朝昼晩に行う!」と最初から高い目標を立ててしまうと、できなかったときに心が折れて挫折しやすくなります。毎日じゃなくてOKなので、無理のない目標を立てて継続しましょう。
また、1セットに行う回数も無理なくできる数だけで大丈夫です。負荷の高いハードなトレーニングを1回行って満足するのではなく、負荷は軽くても継続してトレーニングをするようにしましょう。「きつい」「つらい」と感じるようなメニューだと、続けることは難しいので、楽しみながら長く継続できるメニューを組んでくださいね。
筋肉を意識する
筋トレは回数をたくさん行ったとしても、適当に行っていては効果がなかなか現れません。回数は少なくても良いので、鍛える部位の筋肉を意識しながらゆっくりと動かし、しっかり収縮させるようにしましょう。そして、筋トレに慣れてきたら回数や負荷を増やしてみてください。
また、筋トレをするときは正しいフォームで行うことも重要です。間違ったフォームで行ってしまうと、鍛えたい部位に刺激が伝わりにくくなることもあるので気を付けましょう。
ヒップアップ筋トレは柔軟性も必要
ヒップアップ筋トレの効果が現れるスピードは、大臀筋や中臀筋の柔軟性にも左右されます。次の方法で大臀筋や中臀筋の柔軟性を高めて、効果的にヒップアップ筋トレを行いましょう。
ストレッチで伸ばす
筋肉の柔軟性を高める方法として、よく用いられるのがストレッチです。ストレッチによって筋を引っ張って伸ばすことで、柔軟性を高めます。また、ストレッチは筋肉の疲労を回復させる効果も期待できるので、運動後のクールダウンにもおすすめです。
■大臀筋
1.仰向けの状態で寝転びます。
2.右足の足首を左足の膝の上に置きます。
3.左足を床から離し、左足の膝をお腹に近づけるようにして引き寄せましょう。
4.お尻の筋肉が伸びているのを感じながら10秒ほどキープします。
5.ゆっくりと元の姿勢に戻りましょう。
上記を10回ほど繰り返し、反対の足に切り替えて同様の手順でストレッチしてください。
■中臀筋
1.両膝を立てた状態で床に座り、両手を体の後ろにつきます。
2.右足の足首を左足の膝の上に置き、数字の「4」を足で作ります。
3.背筋を伸ばしたまま体を前に倒し、胸と左ひざを近づけましょう。
4.お尻の筋肉が伸びているのを感じながら10秒ほどキープします。
5.ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
上記を左右2セット行いましょう。
ローラーでほぐす
ローラーは筋膜を柔らかくする効果が得られる器具です。ローラーの上にほぐしたい体の部位をのせ、自分の体重をかけながらコロコロと動かします。
■大臀筋
1.ローラーの上にお尻を置いて座り、両手を体の後ろにつきます。
2.太もも裏〜坐骨あたり、骨盤の後ろ〜腰と分けてローラーを転がしましょう。
大臀筋は面積が広い筋肉なので、一度に全部をほぐすのではなく、お尻の上側と下側に分けてローラーでほぐすようにしましょう。
■ 中臀筋
1.ローラーがお尻の側面に当たるようにして、床側の肘で体を支えながら横向きに寝ます。
2.床側の足はまっすぐ伸ばし、天井側の足は床側の足の前に立ててつきましょう。
3.ローラーを前後に転がします。
筋肉の硬さを感じる部分は少し長めに行いましょう。強い痛みを感じる場合は無理をせず、30秒ほどでやめてもOKです。
まとめ
ヒップのコンプレックスは、筋トレで解消することができます。ヒップアップのための筋トレを行う際は、大臀筋・中臀筋・小臀筋というヒップの3つの筋肉を意識するようにしましょう。この3つの筋肉をバランス良く鍛えることで、理想の上向きヒップに近づけることができますよ。
ヒップの筋肉を鍛えると、足が疲れにくくなる、代謝が上がって痩せやすい身体になる、といったメリットもあります。筋トレをすれば、すぐにお尻の形が良くなるというわけではありませんが、毎日の積み重ねが将来のヒップをつくるので、理想のヒップを目指して筋トレを頑張りましょう!