ダイエットのリバウンドとは
リバウンドとは、ダイエットで痩せたあとに再び体重が増加することを言います。ダイエットの成功に関わらず起きる現象です。
実は、ダイエット後の体重を維持し続けることは、ダイエットよりも難しいとも言われます。それほど、リバウンドに悩まされる人が多いのです。
ダイエットをしても体重が戻ってしまう理由は?
リバウンドして体重が戻るのを防ぐために、その理由を知っておきましょう。
体が一定の状態を保とうとするから
ダイエットを始めると、最初は順調に体重が減り始めますが、そのうち停滞期がやってきます。特に食事制限を行ったときに起こりがちです。その原因は諸説ありますが、「ホメオスタシス」が有力視されています。
ホメオスタシス(homeostasis)とは「恒常性」を意味する言葉で、人体においては「環境が変化しても一定の状態を維持しようとする機能」のことです。
食事制限すると摂取カロリーが少なくなり、体は危機感を覚えます。そこで消費カロリーを少なくして、生命を維持しようとホメオスタシスが機能するわけです。消費カロリーが少なくなっているのですから、同じ食事制限を続けても体重は減らず、逆に食事量を元に戻すとかえって体重が増えてしまいます。
食欲を抑える物質が減少するから
もう1つ、リバウンドに関係しているのが「レプチン」という物質です。レプチンは脂肪細胞から分泌され、インシュリンに刺激されると満腹中枢に働きかけて食欲を抑えます。
ダイエットをするとホメオスタシスの影響でレプチンの分泌が減ります。そのため、同じ食事の量でも満足感を得られず、つい食べ過ぎてしまうのです。レプチンの分泌が正常に戻るまでには、減った体重にもよりますが、最低でも1ヶ月ほどかかるといわれています。
運動をしていないから
食事制限のみのダイエットで運動をしていない場合にも、リバウンドしやすくなります。
運動をしないと、筋肉量が減少して基礎代謝が低下します。消費できるカロリーが少なくなるため、痩せにくくなるのです。
また、運動不足は、インスリンというホルモンに対する感受性の低下(インスリン抵抗性)ももたらします。
インスリンの感受性が低下すると、血糖値を正常に保つために、より多くのインスリンが分泌されるようになります。インスリンには、脂肪の合成を進め分解を抑える作用もあるため、リバウンドしやすい体になってしまうというわけです。
無理なダイエットをしているから
無理なダイエットも、リバウンドの原因です。
継続的な激しい運動や食事制限は、ダイエットの挫折を招きやすいです。また、たとえ短期集中で目標を達成できても、元の生活や食事に戻った途端に、反動で再び体重が増えることが多いです。
無理なダイエットはリバウンドの原因になるだけでなく、体に不調をきたすこともあります。健康的に痩せる意識が重要です。
リバウンドを繰り返すと痩せにくい体になってしまう!
リバウンドしてもまたダイエットをすれば痩せられると考えている方もいるでしょう。しかし、無理なダイエットでリバウンドを繰り返すと、痩せにくい体になってしまうので注意が必要です。
リバウンドを繰り返すと、食事制限をしても体が反応しにくくなります。また、無理な食事制限によって筋肉量が減少していると、代謝が低下してリバウンドの際には脂肪が増えてしまうことになるので、痩せにくくなるのです。
リバウンドしないダイエットの3つのポイント
では、以上を踏まえて体重が戻るのを防ぐには、どうすればいいのでしょうか。
1.しっかりと計画を立てる
体重が増えるのは、食べ過ぎや運動不足など様々な原因があります。原因を特定できないまま無計画にダイエットを始めても、失敗したり体重が元に戻りやすくなったりするでしょう。
まずは1日の食事内容や運動量、生活習慣を見直し、どのようにダイエットを進めていくか計画を立てます。例えば間食が多いようであれば回数を減らす、睡眠の3時間前には食べ物を口にしない、週に数回は運動する機会を持つなどです。
ダイエットの時期も重要です。社会人であれば、異動の時期は歓送迎会が多く、外食する機会が増えるでしょう。女性は生理の影響で痩せやすい時期と、そうでない時期があります。
2.短期間で痩せようとしない
先ほどのホメオスタシスは、体重が5%ほど減ったときに機能するといわれています。体重が60kgなら3kg痩せたときです。あまりにも短期間でこれだけの体重を減らすと、リバウンドしやすくなるといえるでしょう。
そもそも、短期間で痩せようと無理な食事制限をすると、体脂肪だけでなく筋肉も減少します。特に1つの食材だけしか口にしない単品ダイエットは危険です。筋肉が減少すると、基礎代謝が下がってしまい、より太りやすい体になってしまいます。また、普段よりも栄養の吸収が良くなってしまい、少しの食事でも体に溜め込んでしまうでしょう。
元の体重に戻るのを防ぐには、1ヵ月間に落とす体重を5%以内にとどめ、停滞期に入ったら1ヶ月は維持するのが理想といえます。もっと体重を減らしたい場合は、その繰り返しです。もし、ストレスを感じるようであれば、スポーツで上手に発散したり、ランチだけ少し量を増やしたりするなどして乗り越えましょう。
時間はかかりますが、健康的に痩せるほど、ダイエット後の体重を維持しやすくなります。
3.完璧を目指さずゆるく継続する
ダイエットを成功させるには、完璧を目指さないことも大切です。ダイエットを計画通りに実行できない日があっても、翌日以降に調整すれば問題はありません。
計画通りにできなかったからといって失敗したと落ち込まず、まずは継続することを重視しましょう。リバウンドにつながるのは、ストレスを溜め込むことです。
また、ダイエットを終えても運動や食事管理を習慣化して継続できれば、目標体重になった途端にリバウンドしてしまうのを避けられます。
実践しよう!リバウンドしにくいダイエット方法
では、元の体重に戻りにくいダイエットは具体的にどのようなものなのか紹介します。
【食事編】栄養バランスのとれた食事を意識しよう
食事は1日3回規則正しく摂り、バランスの良いメニューを心がけましょう。基本となる5大栄養素には、以下のような働きがあります。
・炭水化物……脳や筋肉のエネルギー源
・脂質……細胞膜やホルモンの材料
・タンパク質……筋肉の材料
・ビタミン・ミネラル……代謝を正常に保つ
炭水化物や脂質は摂り過ぎると体脂肪になりやすいですが、極端に減らすのは好ましくありません。目安として、1日の総消費カロリーのうち炭水化物を6割、脂質を2~3割摂るのが望ましいとされています。
もし1日の消費カロリーが2,000kcalなら、目安は炭水化物が1,200kcal(ご飯茶碗5杯分)、脂質が400~600kcal(油大さじ4~5杯分)です。減らすとしても炭水化物は1日100g、脂質は36g以上摂るように心がけましょう。
減らすときは、徐々に量を少なくして慣らすと、ストレスを感じにくくなります。また、よく噛むのも早く満腹感を得やすいでしょう。他にも肉や魚なら脂の少ないものを選ぶと、同じカロリーでも多くの量を食べられます。主食は雑穀や全粒粉にすると、腹持ちが良くなり、食物繊維も豊富です。
主食は雑穀や全粒粉にすると、腹持ちが良くなり、食物繊維も豊富です。また、肉や魚なら脂の少ないものを選ぶと、同じカロリーでも多くの量を食べられます。
減らすときは、徐々に量を少なくして慣らすと、ストレスを感じにくくなります。また、よく噛むのも早く満腹感を得やすいでしょう。
【運動編】無理のない範囲で運動量を増やそう
食事だけでダイエットするのは無理があります。消費カロリーを増やすためにも、筋肉をつけて基礎代謝を上げるためにも、適度な運動を取り入れましょう。
毎日続けられるなら軽い運動でも構いません。例えば通勤時に1つ先の駅やバス停まで歩いてみたり、休憩時に意識してお腹を凹ませたり、片足立ちをしたりするなどの運動があります。このほか、ウォーキングやヨガなどを取り入れルノも良いでしょう。
運動による消費カロリーは、安静時に対する身体活動の強さを表す「METs」を使った計算で求められます。例えばヨガやストレッチなら2.5METs、時速6kmくらいのウォーキングが4METsです。
体重60kgの人が1時間運動した場合、ヨガやストレッチは150kcal、ウォーキングは240kcal程度のカロリーを消費できます。
脂肪の量に換算するなら、脂肪1kgが7,200kcalに相当します。同じ条件で、ヨガやストレッチでは約21g、ウォーキングは約33の脂肪を消費できる計算になります。
ダイエットでリバウンドしてしまったときの対策は?
ダイエットでリバウンドしてしまったときには原因を特定し、正しいダイエットを始めることが対策になります。
リバウンドした原因を特定する
まずは、日頃の生活を振り返ってみて、リバウンドの原因について考えてみましょう。
よくある原因は、摂取カロリーの過剰や運動不足、食事の栄養バランスが取れていないなどです。
食事に問題がある場合には、メニューを見直してみましょう。運動不足の場合には、筋トレやウォーキングなど、すぐ取り組めるものを始めるのがおすすめです。
正しいダイエットを始める
リバウンドをした場合、ダイエットの方法や計画に無理があることがほとんどです。正しい方法で、もう一度ダイエットをスタートさせましょう。
ダイエットの基本は、バランスの良い食事や適度な運動です。また、睡眠不足や不規則な生活などもダイエットには良くないので、正しい生活習慣を送れるように気を配ってください。
まとめ
ダイエットで元の体重に戻るのを防ぐには、体が危機感を抱かない程度にゆっくりと体重を減らし、運動で消費カロリーを抑えたり、筋肉をつけたりするのが理想です。元の体重に戻ってしまうメカニズムを知ったうえで、しっかりダイエットの計画をたてるようにしましょう。