基礎代謝とは
基礎代謝とは、生命活動を維持するために必要なエネルギーで、筋トレやスポーツなどをしていなくても消費しているものです。
呼吸や心臓を動かすために必要になるため、すべての人が基礎代謝を消費しながら生きています。
じっとしているときや寝ているときも消費されていますが、そのエネルギーは加齢とともに徐々に減少していくため向上させる努力が必要です。
基礎代謝はダイエットや筋トレの効率に大きく影響するものでもあるため、効果的にアップさせていきましょう。
基礎代謝を上げるメリット
基礎代謝を上げるメリットは、血の巡りが良くなって消費エネルギーが増える点にあります。
血行が良くなることから老廃物も溜まりにくく、冷え性の改善にも効果的です。
また、同じ食事量を摂取していても、エネルギー消費量は基礎代謝が高い人の方が多く、太りにくくなるメリットもあります。
そのため、基礎代謝を向上させておくことで、若いころのスタイルをキープしやすくなる上に、大幅なリバウンドを防ぐこともできるでしょう。
激しい無理な運動や筋トレを行わなくても、定期的に適度な運動をするだけで体型を維持しやすくなることも特徴のひとつです。
基礎代謝は、体内の熱産生が活発になる秋・冬に高くなります。そのため、春・夏の基礎代謝が低下しがちになる時期は、特に意識して維持する努力が必要になるでしょう。
基礎代謝の上げ方
基礎代謝を上げるには、効果的なトレーニングや食事・生活習慣の見直しが必要になります。
基礎代謝は、年代や性別によって異なるため、自分の基礎代謝が自分の性別・年代の平均値を上回っているかを確認しておくのもおすすめです。
一般的に、基礎代謝の平均は20~40代の成人女性で約1100kcal、同年代の男性で約1500kcalといわれています。
この数値よりも低い人は、まずは基礎代謝の平均値を上回るようにトレーニングをはじめてみてはいかがでしょうか。
ここからは、基礎代謝を上げるための方法や効果を引き出すポイントについて紹介します。
無酸素運動
基礎代謝を上げるためには、筋肉量を増やす必要があります。
全身の筋肉は、基礎代謝で消費するエネルギーの2~3割程度を占めているといわれており、筋肉量を増やすことは基礎代謝アップにつながります。
筋肉量を増やすには「無酸素運動」が適しています。無酸素運動はいわゆる「筋トレ」と呼ばれるもので、トレーニングを行いながら筋肉量を増やすことができる方法です。
重要なのは、短期間にハードな量をこなすのではなく、少しずつはじめて、長期間継続して行うことです。
筋トレは自宅やジムなど室内でできて継続しやすいため、無理のない範囲からはじめてみましょう。
特に、全身の中でも大きい筋肉である太ももやお尻、お腹の筋肉から重点的にトレーニングをはじめていくと効果的です。
最初は負荷の弱いトレーニングからはじめ、慣れてきたら徐々に負荷を強くして回数を上げていくのが継続するコツです。
有酸素運動
筋力トレーニングに加え、有酸素運動を行って脂肪燃焼を図りましょう。
筋肉量を増やす無酸素運動に比べ、酸素を取り込みながら長時間行う有酸素運動は、基礎代謝の向上に強く影響するものではありません。
しかし、脂肪を落としたり、持久力をアップしたりするのに役立ち、無酸素運動の負荷を上げやすくなるメリットがあります。
また、有酸素運動は脂肪燃焼のほか、血流改善にも効果的です。健康やダイエットを目的として基礎代謝を上げたいのであれば、有酸素運動も組み合わせる方法が良いでしょう。
有酸素運動を行うときは、20分以上継続して行うことで、体脂肪をエネルギー源として使うことができます。慣れてきたら徐々に時間を延ばしていき、効果アップを目指しましょう。
ストレッチ
基礎代謝を上げるには、ストレッチを行うのも有効です。ストレッチは血流を促進させて体温を上げる作用があるため、基礎代謝の向上にもつながります。
普段運動の習慣がないのであればまずストレッチからはじめて、徐々に無酸素運動や有酸素運動と組み合わせていくのもおすすめです。
また、ストレッチには筋肉の緊張を和らげる役割もあるので、筋トレで酷使した体の疲労回復を早める効果も期待できます。
食事
基礎代謝を上げることができるのは、運動だけではありません。食事を見直して、体温向上や腸内環境改善に役立つ食材を積極的に摂取する方法もあります。
たとえば、ショウガやニンジン、カボチャなどの根菜類は体を温めるのに適した食材のひとつです。
腸内環境を整えるのであれば、チーズや納豆などの発酵食品や食物繊維が豊富なキャベツ、芋類が適しています。
また、基礎代謝を上げるために無酸素運動を行って筋肉量をアップさせるには、たんぱく質の摂取も重要です。
ささみや鶏の胸肉、豆腐、チーズなどのたんぱく質が豊富な食材を取り入れ、必要に応じてプロテインなどを活用して補いましょう。
水分
基礎代謝を上げる際に、水分補給も重要になります。特に、筋トレなどのトレーニングを行っていると、汗を大量にかくため体内の水分量が減少しがちです。
水分量が減少すると血行が悪くなるため、意識して積極的に水分を多く摂取し、血行促進を図りましょう。
また、水分を摂取する際には、体を温めるために白湯などの温かいものがおすすめです。
冷えたものを摂取すると体も冷えるうえに、消化器官の機能が低下して消化不良や便秘の原因になる恐れがあります。
消化不良や便秘によって代謝が落ちると、脂肪燃焼の妨げになるので注意しましょう。
水分摂取量の目安は、1日あたり1.5L~2L程度が目安とされています。また、夏場やトレーニングで汗を多くかいたときは、摂取する量を増やすなどしてコントロールすることが重要です。
入浴
入浴も基礎代謝アップにおすすめです。体が温まると血管が広がって血流が良くなるため、基礎代謝が上がるだけでなく、老廃物も排出されやすくなります。
また、40℃程度のぬるめのお湯につかることで副交感神経が優位になり、自律神経を整える効果が期待できます。リラックスできることから、トレーニングで酷使した体の回復を促すうえでも役立つでしょう。
入浴方法はさまざまなものがありますが、シャワーではなく湯船につかることが特に重要です。湯温は高くしすぎないように注意し、10分~15分程度を目安にして浸かるようにしてください。入浴によって汗をかくことで、脂肪燃焼にもつながります。
また、上述した方法以外には、エステに通うのもおすすめです。マッサージなどの施術をプロの手で行ってもらうことで、血流やリンパの流れを促して、さらに基礎代謝向上につながるでしょう。
普段トレーニングを頑張っているご褒美として施術を受けるのも、モチベーションアップに役立つのではないでしょうか。
まとめ
基礎代謝の上げ方はいくつもの方法がありますが、自分に無理のない範囲から継続する習慣をつけることが大切です。
強い負荷の筋トレをはじめてみても、続かないうえに体を痛めてしまう恐れもあります。
また、トレーニングだけを行うことも、うまく効果が得られない原因のひとつです。
基礎代謝を高めるには、継続的なトレーニングに加えて、食生活の見直しや、入浴・睡眠時間を確保するなど、生活習慣全体を見直しながら取り組む必要があります。
そのため、まずは続けやすい範囲で適度な運動を習慣化しておき、基礎代謝の低下を予防することをおすすめします。
【この記事の監修医師】
東京女子医科大学病院、および関連病院で内科、循環器科、睡眠科として診療にあたるほか、 嘱託産業医として企業の健康経営にも携わる 木村眞樹子先生