からだが睡眠不足だと感じる目安時間 って?
「睡眠不足」といいますが、からだが睡眠不足だと感じる目安時間はどれくらいかご存知ですか?
からだが睡眠不足だと感じるボーダーラインは、5時間とされています。睡眠時間がこの時間に満たないと、からだは睡眠不足だと感じます。
具体的には、眠い・ダルい・からだが重いといった症状がみられ、頭痛がする人もいることでしょう。とはいえ、5時間以上寝たら満足するかというと、そうともいえません。
5時間というのは、あくまでも睡眠不足だと感じるボーダーラインであって、理想とする睡眠時間ではないからです。
理想とされる睡眠時間は7~8時間
健康的な生活を送るための最適な睡眠時間は、7~8時間といわれています。わたし達の睡眠にはリズムがあることが分かっており、このリズムを考慮に入れると、理想とされる睡眠時間は7~8時間になるのです。
寝ている間は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)が交互に現れます。この睡眠のリズムは1時間半で繰り返されていて、4~5回繰り返して浅い眠りのときに目覚めると、熟睡感も得られ、気持ちよく起きることができます。
睡眠のリズムを5回繰り返すと、7時間半です。なので、睡眠は7時間以上、8時間以下にするのが理想とされているのです。
睡眠時間を6時間取ることができれば、ちょうど睡眠のリズムが4回繰り返された、浅い眠りのときに起きることになるので目覚めもよくなります。
しかし、睡眠時間が5時間くらいしか取れないとなると、深い眠りに入っているときに起きなければならなくなるので目覚めが悪く、睡眠不足と感じやすくなるのです。
平日は睡眠時間が少なく、週末に多く寝る、という人もいると思いますが、連日の睡眠時間が5時間未満では週末の睡眠だけで疲労を回復することができなくなってしまいます。最低でも6時間は眠るようにしてください。睡眠不足が続くと、疲労が蓄積され、ミスが増えるなどの作業効率も落ち、心身の不調が現れてしまいます。
睡眠不足が引き起こす体への影響には、ストレスの増加や新陳代謝の低下などがあります。こうした影響は、ダイエットを成功させるための障害となるものでもあるので、ダイエットを考えているなら睡眠不足はNGと心得てくださいね。
眠りすぎも健康には良くない
「睡眠時間が長いと、食欲を抑制するホルモンが多く分泌されるので、痩せやすくなる」。こんな話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
十分な睡眠時間を確保することで、食欲を抑制するホルモンの分泌を促すことができますが、できるだけ長く寝ていればいいというわけではありません。
アメリカで実施された睡眠時間と死亡リスクの大規模な調査では、眠りすぎてしまうと健康に良くないということが分かっています。
この調査では、睡眠時間が7時間の人の死亡リスクが一番少なく、睡眠不足でも睡眠過多でも死亡リスクが高くなることが報告されました。
さらに、睡眠が10時間以上の人は7時間の人に比べ1.3倍の死亡リスクがあるとされています。
また、睡眠時間を取りすぎると、今度は睡眠の質が低下し、結果として睡眠不足のように太りやすくなるということも否定できません。
睡眠を取りすぎることには、健康リスクがあり、太りやすくもなるということですから、睡眠時間は7~8時間という最適な睡眠時間に抑えるようにおすすめします。
寝不足だとなぜ太る?睡眠不足で太る原因
睡眠不足だと太るとはいわれますが、現時点では睡眠不足が肥満の直接的な原因になる、という科学的根拠はありません。
では、なぜ睡眠不足になるとなぜ太るといわれているのでしょうか?その原因についてみていきましょう。
睡眠不足なると食欲がわき、ホルモンの量が増える
睡眠時間が短くなるということは、起きる時間が長くなること。そうなると、活動に必要なエネルギーはおのずと増えていきます。
米スタンフォード大学が行った研究では、睡眠不足になると、食欲がわくホルモンの量が約15%高くなり、食欲を抑えるホルモンの量が約15%低くなったということです。
(参考:https://toyokeizai.net/articles/-/177098)
つまり、睡眠不足になると、食欲をコントロールするホルモンが、食べ物を食べるように促すということ。起きていると食べたくなる衝動にかられるのは、こうしたホルモンが関係しているからです。 睡眠不足になるとからだが甘いものを求める
睡眠不足が続くと、心のバランスを保つ「セロトニン」というホルモンが不足します。このセロトニンが不足すると、からだは甘いものを求めるように。
結果として、甘いものが我慢できなくなり、太りやすくなります。
眠れないストレスやイライラがあると、脳はセロトニンを分泌してそれを緩和させようとしますから、余計に甘いものが食べたくなります。
睡眠不足になると翌日の活動量が減る
睡眠不足だと、翌日の活動量が減る要因にもなります。疲れが抜けず、だるさがあると、活動量は当然ながら減少することでしょう。
また、睡眠不足だと、成長ホルモンの代謝がうまくいかなくなり、基礎代謝量も下げてしまうことになりかねません。
そうなると、消費するカロリー量が落ちるので、食事で摂取したカロリーの消費をしにくくなり、太ってしまいます。
睡眠不足にならないために 熟睡するコツ を知ろう
このような考えから、睡眠不足になると太る可能性が高くなると言えます。太らないた めには、睡眠不足を解消しなければなりません。
とはいえ、「眠りたいのに眠れない」「寝ていても、夜中に何度も目が覚めてしまう」といった悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
そんな悩みを抱えている人のために、熟睡するためのコツをご紹介していきます。
自分の理想の睡眠時間を知ろう
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠の間は眠りが浅く、夢をよく見ます。逆にノンレム睡眠の間は眠りが深く、ほとんど夢は見ません。
レム睡眠の間は眠りが浅いので、その時に起きると目覚めが良いとされています。レム睡眠は90分周期で繰り返され、睡眠単位でみると、4.5時間、6時間、7.5時間です。
なので、上記の時間を軸にして目覚まし時計をセットしておくと、気持ち良く目が覚めやすくなるでしょう。
理想の睡眠時間は7.5時間とされていますが、人によってはそれより少なくても構わないということもあります。4.5時間だと少ないですが、6時間が一番スッキリするという場合は、それが自分にとってのベストな睡眠時間です。
眠れていないと感じていても、すっきり目覚められて、日中も眠気を感じることなく爽快に過ごすことができていれば、睡眠としては充分とれているかもしれません。
食事は眠る3時間前までに
食事をしてから消化が落ち着くまでには、3時間はかかります。
食べものが胃に入った状態だと、内臓がまだ働いているため、ぐっすり眠ることができません。また、夜は消化酵素が減少するため、食物の吸収・消化がきちんとなされずに、食物が胃に残って翌朝胃もたれを引き起こすということもあります。
お腹いっぱいの状態で眠ることは避けるべきですが、仕事が忙しい社会人だと、残業から帰ってきて食事をしてすぐに寝るという生活スタイルになっていることもあるでしょう。
寝るまでに3時間空けるのは厳しいという場合は、おかゆや雑炊、うどんなど消化の良いものを意識して食べるようにしてみてください。
眠る2時間前にはブルーライトを避ける
PCやスマホなどの画面から放つブルーライトは、太陽の光と同じような強い覚醒作用をもちます。眠る直前までスマホなどの画面を見ていると、熟睡することができなくなるので注意しましょう。
ブルーライトは睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制してしまうので、可能な限り眠る2時間前からはスマホなどを触らないようにしてください。
スマホやPCだけでなく、冷蔵庫や電子レンジなどから放つ光も覚醒作用があります。眠る前にはできるだけ冷蔵庫を開ける、電子レンジを使うといったことは控えるようにしましょう。
コンビニなど強い照明に当たることでもメラトニンの分泌は抑制されてしまうので、ホテルの照明程度のやや薄暗い屋内で読書をして過ごすなどが寝る前の環境としては好ましいといえます。
眠る前に考えごとをしない
頭の中で考えごとをしていると、脳が働いている状態になるので眠れなくなってしまいます。ただ、考えごとをしてはいけないと分かっていても考えてしまう、という人もいますよね。
そんな場合は、真っ白な紙に、頭の中で考えてしまうことを書き出すことをおすすめします。
全部頭の中にあることを書き出すことで、一度頭をからっぽの状態にすることができるので、 あれこれと考えずにすみ、熟睡しやすくなりますよ。
まとめ
こちらでお話ししましたように、睡眠不足は太る原因になります。睡眠不足になると、食欲がわき、ホルモンの量が増える、からだが甘いものを求める、翌日の活動量が減るなどということから太りやすい状態になるのです。
睡眠不足による体重増加で悩んでいるなら、熟睡しやすい環境を整え、睡眠時間を確保するようにしていきましょう。
【この記事の監修医師】
東京女子医科大学病院、および関連病院で内科、循環器科、睡眠科として診療にあたるほか、 嘱託産業医として企業の健康経営にも携わる 木村眞樹子先生